浴槽のお湯を抜いた時に、水がスムーズに流れず渦を巻いている。この不快な光景の裏には、ほぼ必ず「主犯」がいます。それは、日々の入浴で抜け落ちる私たちの髪の毛です。排水口の詰まりは、ある日突然起こる災害ではなく、見えない排水管の中で髪の毛が時間をかけて育て上げた、いわば人災なのです。そのメカニズムと効果的な対策を理解することが、快適なバスタイムを維持する鍵となります。 一本一本は細くしなやかな髪の毛が、なぜ排水管を塞ぐほどの大物になるのでしょうか。それは、髪の毛が単独で詰まっているわけではないからです。排水管の中では、シャンプーやリンス、石鹸のカス、そして体から出る皮脂といった粘着性の高い汚れが、接着剤のように機能します。流れ込んできた髪の毛はこれらの汚れに捕らえられ、次々と絡みついていきます。こうして、髪の毛を芯としたヘドロ状の塊が、雪だるま式に成長し、徐々に水の通り道を塞いでいくのです。 この手強い主犯を捕らえるための最も効果的な対策は、言うまでもなく「予防」です。まず、排水口のヘアキャッチャーの性能を見直し、こまめに掃除する習慣を徹底しましょう。備え付けのものが粗い場合は、目の細かいネットタイプやステンレス製の製品に交換するだけで、排水管へ流出する髪の毛の量を劇的に減らすことができます。そして、入浴のたびに、溜まった髪の毛を必ず取り除くこと。このわずか数秒の手間が、最大の予防策となります。 さらに、浴室に入る前に髪をブラッシングするのも非常に有効です。乾いた状態でブラッシングすることで、抜け落ちる予定の髪の毛をあらかじめ取り除き、浴室に持ち込む量を減らすことができます。そして、予防的なメンテナンスとして、月に一度は髪の毛を溶かす効果のある液体パイプクリーナーを流し、排水管内部をクリーンに保つことをお勧めします。 浴槽の詰まりは、日々の小さな怠慢の積み重ねです。逆に言えば、日々の簡単な習慣を続けるだけで、ほとんどのトラブルは未然に防げます。主犯である髪の毛をしっかりと捕らえ、快適なバスタイムを守りましょう。
浴槽詰まりの主犯は髪の毛その対策とは