水道管が破裂し、水が噴き出す。この非常事態に遭遇した時、冷静でいられる人は少ないでしょう。しかし、パニック状態での行動は、さらなる被害の拡大や、感電などの二次災害を引き起こす危険性があります。破裂後の混乱の中で、何をすべきで、何をすべきでないのか。その境界線を理解しておくことが、安全を確保し、被害を最小限に食い止めるための鍵となります。 まず、破裂後に「絶対にやるべきこと」の最優先事項は、屋外にある水道の「止水栓(元栓)」を閉めることです。これにより水の供給を断ち、被害の拡大を防ぎます。次に、水濡れしている場所の近くにある電化製品のコンセントを抜き、ブレーカーを落とすこと。水は電気を通すため、漏電による感電や火災のリスクを避けるための非常に重要な行動です。安全を確保したら、速やかに専門の水道業者(指定給水装置工事事業者)と、賃貸の場合は管理会社や大家さんに連絡します。また、水濡れの被害状況を、スマートフォンのカメラなどで写真や動画に記録しておくことも忘れてはいけません。これは、後々の保険請求の際に、被害の状況を証明する重要な証拠となります。 一方で、「絶対にやってはいけないこと」もあります。まず、水が漏れている箇所に、自分でテープを巻いたり、接着剤を塗ったりといった応急処置を試みることです。水道管には常に高い水圧がかかっているため、素人の処置ではまず止まりません。かえって破損箇所を広げてしまったり、修理をより困難にしてしまったりする可能性があります。 また、水浸しになった室内で、不用意に電化製品に触れたり、スイッチを操作したりするのも非常に危険です。水を通して電気が体に流れる感電のリスクがあります。ブレーカーを落とすまでは、電気系統には絶対に触れないでください。そして、焦って自分で業者を探し、その場で契約してしまうのも避けるべきです。悪徳業者に高額な請求をされるケースも少なくありません。まずは管理会社や保険会社に連絡し、信頼できる業者を紹介してもらうか、複数の業者から見積もりを取る時間的な余裕を持つことが大切です。 水道管破裂は、まさに災害です。しかし、正しい知識と手順を踏むことで、その被害は確実に軽減できます。やるべきこととやってはいけないことを冷静に判断し、安全第一で行動してください。