家の水道システムの「マスターキー」とも言える、屋外の止水栓(元栓)。宅内での深刻な水漏れといった緊急事態が発生した際に、被害を最小限に食い止めるための最後の砦です。しかし、この重要な設備は、普段全く使われないために、いざという時に「固くて回らない」という事態に陥りがちです。そうならないためにも、専門家でなくてもできる、簡単かつ効果的な定期メンテナンスをお勧めします。 屋外止水栓が固着する主な原因は、長期間動かさないことによるサビや、水道水に含まれるミネラル分の固着です。屋外のメーターボックス内という過酷な環境に置かれているため、何もしなければ劣化していくのは当然のことです。そこで重要になるのが、定期的に「動かしてあげる」という、非常にシンプルなメンテナンスです。 具体的には、半年に一度、あるいは少なくとも一年に一度、天気の良い日に止水栓を意識的に操作してみましょう。まず、メーターボックスの蓋を開け、ハンドル周りの土やゴミ、クモの巣などを取り除き、きれいにします。次に、ハンドルを時計回りにゆっくりと回し、完全に閉まるまで動かします。完全に閉まったら、今度は逆に反時計回りにゆっくりと回し、元の開いた状態に戻します。たったこれだけの作業です。 この定期的な開閉運動によって、バルブ内部の固着が防がれ、いざという時にもスムーズに操作できる状態を維持することができます。また、この作業は、止水栓が正常に機能するかどうかの「動作確認」も兼ねています。もし、この時点で固くて回らない、あるいは操作後に水漏れが発生するようなら、本格的なトラブルが起きる前に、専門の水道業者に点検や修理を依頼することができます。 このメンテナンスを行う際の注意点は、必ず「ゆっくり」操作すること、そして家族に「今から少し水が止まるよ」と一声かけてから行うことです。また、少しでも異常を感じたら、無理に力を加えないことも重要です。 家の安全を守るための、年に数分の簡単な習慣。それが屋外止水栓の定期メンテナンスです。いざという時に慌てないため、そして余計な修理費用をかけないためにも、ぜひ実践してみてください。